私達が今こうして生きているのは過去があるからです。過去から現在。そして未来へ繋がっています。今現在何か選択をするとすれば、あなたはその中から選ぶことができます。しかし、過去の選択というのは変えることができません。もちろん過去の出来事も変えることはできません。しかし、過去を変えることはできます。
嫌な出来事はずっと頭の中から離れず私たちの心を支配しようとまでします。後悔や辛さとなって残り続けようとします。
「あの出来事さえなかったら…」
「何であんなことしてしまったんだろう…」
「別の選択をしていたなら…」
「また失敗するんじゃないか…」
「過去なんて捨てたい!」
「過去なんて忘れたい!」
こうした、過去への後悔や、思い出したくないつらい経験が元になった悩みの一つや二つは、誰にでもあるものです。
人間は生まれてから今日に至るまでに、つらい出来事があると心に傷ができます。これを心理学的にはトラウマ(精神的外傷)といいます。
過去を振り返らないと思っていても、潜在意識に残っていて、ふとした瞬間に浮かび上がってきたりします。
そんな時には「あの出来事にさえ出合わなければ、もっと幸せになれたのに…」と言った嫌な記憶でつい頭をもたげてしまうのです。
過去を変えることが出来たら…
そんな嫌な過去を良くしてしまう方法があればお知りになりたくありませんか?
おいおい、何を言い出すんだと思うかもしれません。過去は過去で変えることなんてできるはずがない!映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようにタイムマシーンでも作れというのか?などと思うこともあるかも知れません。
しかし、そんなことまでしなくても、過去というのはあなた次第で変えることができるのです。
そんな悩みには【オセロの法則】で解決しましょう。過去と未来が同時に良くなる法則です。
変えられない過去をどう思うのか、いくらでも変えることができます。今日はそんなお話です。
お悩み解決シリーズ第10話は「心を変える編」心を変える法則3つ目「人生単位で心を変える法則」をご紹介。第3弾として、過去を変えるお話「オセロの法則」をテーマにお届けします。
この、お悩み解決シリーズは、順序を得て読んでいただけると、悩みの解決をより分かりやすくしてくれます。 まだご覧になられていない方は、下記のリンクをお読みください。悩みとはから始まり、各話の目次となっております。
悩みの解決はプロにお任せ
過去を変える
シェークスピアは「終わりよければすべてよし」という戯曲を書きましたが、この【オセロの法則】は単なる結果論ではありません。 現在という時点から、過去ばかりか未来も良くするというものです。もし、あなたが現在に至るまでの人生で「親に虐待された」とか、「いじめられた」、「病気になった」と言った、嫌な出来事があって心が傷つき、それをひきずって落ち込んでいるとします。
そうした過去のいまいましい出来事で傷つき、暗くなっているあなたの心の一部分を、オセロの黒だとします。
しかし、今日までつらい思いをして、その部分の心の色が黒でも、現在が本当に素晴らしくなれば、あなたの心のその部分は白になります。
そして、現在に対応する心の部分が白であれば、過去に対応する黒の部分も白に変わります。なぜでしょうか。
それは、生まれたときの、あなたの心は「白」だからです。赤ちゃんとして生まれたときは、心は、純粋無垢な喜びにあふれているのです。生まれたときの白の駒と、今が本当に幸せで素晴らしい心になっているという白の駒にはさまれて、嫌な思い出という黒の駒は、オセロのように、一気に白にひっくり返るのです。
今のあなたが本当に素晴らしくなって、喜びいっぱいになったときに、あなたの心はパタパタパタ、パタパタと開いてきます。
あなたの心が開いたときに、過去に起きたつらい出来事が、まったく違って見えてきます。
ある男性が変わった体験談
これまで体験した嫌な出来事でも、今の幸せを知れば喜びに変わります。あの出来事があったお陰で、今のこの幸せがあるんだと大きな気づきになるのです。その事実に気づいたときに、あなたの心は変化します。
- 今のこの気づきは得られなかった!
- ありがたい出来事だったんだ!
- あのことをとおして私は強くなったんだ!
相談に来たある男性は、【オセロの法則】で、人生が黒から白へと、まさに一挙にひっくり返った一人です。
年齢は、当時41歳でした。私と出会ったときは、三年間無職で、まったく無気力な状態でした。 彼の人生は、これでもか、というくらいの苦難の連続でした。
少年時代は、毎日両親がケンカして、自分の気持ちを聞いてもらえない日々。やがて自分の存在を否定するようになります。中学時代には、自殺も考えます。19歳のときに、助かったのが奇跡といわれるような交通事故にあいます。
そして、全身傷だらけの状態で四年間を過ごします。その後、一級建築士になって働きはじめ、結婚して子どももできます。生まれてはじめての幸せでした。しかし、数年後離婚。さらに追い討ちをかけるように心臓の病気になり、仕事をつづけられなくなります。
その後、三年間無職の状態だったのです。
ご本人はきっと、自分の人生を、黒い部分が圧倒的に多い時間として感じていたことでしょう。あるいは、真っ黒と感じていたかもしれません。
しかし、彼は、私との対話をきっかけに、今この瞬間の真っ白な生の喜びに目覚め、自分が愛されている存在だということに気づきました。
「ああ、そうだったんだ!あそこまでの出来事がなければ、私は気づけなかったんだ。私に気づかせるために、起きたことだったんだ!」
「今まで悪いと思っていた出来事が、じつは様々なことに気づかせてくれたり、自分を鍛えてくれたという事実として、どんどん湧き上がってきました。」
自分の至らない部分を、様々な人や出来事をとおして気づかせてくれた事実の数々…
彼は過去のすべての出来事がなければ、今この瞬間を迎えることはなかったという事実を心の奥底で実感しました。
「今まで、悪いと思って呪っていた出来事は、私を成長させてくれるため一の、かけがえのない財産だったんだ!ありがとう!」
心の奥から湧き出る感謝の心をおさえきれず、彼はその場で泣き崩れました。
この気づきをきっかけに、彼は自分の中にある素晴らしい完全なる宝物に気づいたのです。彼は、健康を取り戻し、塾に就職もして、楽しく充実した毎日を送りはじめました。彼は、今という瞬間に白の石を置くことにより、過去の黒の石をすべて白に変えてしまったのです。これが、【オセロの法則】です。
過去を変えるには幸せを発見すること
交流分析という心理学理論・心理療法を創始した米国の精神科医エリック・バーンは、「過去と他人は変えることができない」と言いました。
一般に、過去が変わらなければ、未来は変わりません。なぜなら、世の中には原因と結果の法則が働いていて、過去が「原因」となって、未来という「結果」につながっていくからです。
そうすると、過去を変えられないのだから、その結果の未来も変えることができないということになります。しかし、驚くべきことに、この【オセロの法則】で、過去を変えることができます。
どうすれば、過去を変えることができるのか。それには、現在の素晴らしさ、幸せを発見することです。確かに、過去の出来事にとらわれて悩んでいるときには、「幸せの発見」と言われても、すぐには見つけられないかもしれません。
しかし、それは、悩んで波立った心では、幸せはかすんでしまって見えないというだけのことです。事実を見ていけば、あなたは、本当はもの凄く恵まれていることに気づくはずです。じつにささいなことでもかまいません。幸せを発見してください。
今、こうして当記事を読むことによって、人生を大きく転換できるとすれば、それは過去のあなたの悩みのお陰かもしれません。意外と悩みにとわられて見えなかった、今当たり前だと思っていることが身の周りにたくさんあるはずです。
それらは、あなたにとって忌わしいと思われる過去と、様々な出会いや環境とによって、今この状況に至ったのではないですか?
あなたを悩ませた出来事が、あなたを思慮深くしたり、あなたを人の痛みのわかる人間に育ててくれてはいないでしょうか。そういった過去の恩恵と、現在の幸せを今発見しましょう。
それが、過去の黒の駒の横に、白の駒を打つということです。すると、過去の黒の駒がひっくり返って、白の駒になります。こうして過去が変わり、その結果として未来までもが変わるのです。
人生の本質を知る
人生の本質は喜びです。ただただその喜びに気づけばいいのです。
そして、喜びを認めるのです。生きることの喜びは、認めた分だけ増しつづけます。ドイツの文豪、ゲーテは言いました。「生の喜びは大きいけれども、自覚ある生の喜びはさらに大きい」と。
あなたも生の喜びを自覚してください。現在の喜びが、過去も未来もすべて喜びに変えます。そうすれば、楽しい人生の始まりです。まずは少しづつでもあなたの現在の幸せや喜びに気づいてください。【オセロの法則】によって過去を変えて、未来を明るくするのは、あなたなのですから。